2023年2月7日

産業医

2023年4月から、新たに産業医が必要になる事業者とは

2023年4月の法改正を受け、新たに産業医の選任の必要が生じる制度をご存じでしょうか?

 

今回、改正される法律とは。。。

「船員法施行規則」になります。

(R4.4.15 「船員法施行規則等の一部を改正する省令(令和4年国土交 通省令第42号)が公布されました。)

 

今回の法改正により、常時50人以上の船員を使用する船舶所有者に産業医の選任が義務付けされました。

(選任届の提出先は労働基準監督署ではなく、所轄地方運輸局長となります。)

船員の健康管理を行うためには、船員を使用する船舶所有者に対して、継 続的に、医学的な立場からのサポートを行うことが必要であるが、船員については、制度上、指定医師により船舶への乗組みの可否を判定する制度や常時50人以上の船員を使用する船舶所有者に対する安全衛生委員会の設置義務はあるものの、医学的知見を持つ者が健康管理を継続的にサポートする制度は設けられていなかった。このため、常時50人以上の船員を使用する 船舶所有者に対して、面接指導やストレスチェックの実施及びこれらの結果に基づく船員の健康を保持するための措置等で医学に関する専門的知識を必要とするもの(以下「船員の健康管理等」という。)を行わせるため、産業医の選任を義務付けられたこと。 なお、船舶所有者は、産業医を選任したときは、その旨の報告書を、遅滞なく、所轄地方運輸局長に提出しなければならないこととしたこと。 また、産業医の身分の安定性を担保し、その職務の遂行の独立性、中立性を高める観点から、船舶所有者は、産業医を選任したとき、産業医が辞任したとき又は産業医を解任したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を安全 衛生委員会又は団体安全衛生委員会に報告しなければならないこととしたこと。

 

以上、「船員法施行規則等の一部を改正する省令(船員の健康確保関係)の施行について_国海員第25号の3」 より引用

 

今回の法改正の背景には、陸上労働者に比べ船員の方の健康リスクが高い状況がありました。

船員の疾病のうち、約半数が生活習慣病
・船員の疾病による死亡者の約9割が生活習慣病に関連する疾患によるもの
・船員は、陸上労働者と比べ、メタボリックシンドロームの割合が10%以上高い
・船員は、陸上労働者と比べ、喫煙者の割合が10%以上高い
・船員における高ストレス者の割合は、陸上の労働者と合わせた中でも、製造業に次いで高い値
・船員の中では、「人間関係」を高ストレスの要因としている者の割合が高い
・船員に対する労働負荷の要因は様々

 

 資料:船員の働き方改革・健康確保WEB説明会(国土交通省海事局)

 

意欲ある人材が船員として健康に長期間勤務してもらえるように、より一層の健康管理推進のための法改正となりました。

その目的達成のため、産業医選任義務の他にも、健康検査結果に基づく健康管理、長時間労働者への医師面談、ストレスチェックの実施の義務が設けられています。

(健康検査結果に基づく健康管理については、船員人数によらず全ての船舶所有者で対応が必要です。それ以外は、産業医同様に常時50名以上使用の条件)

 

地上での制度との相違点は?

海上での勤務という特殊性を鑑み、地上の事業場を対象とした産業医(労働安全衛生法のルール)とは異なる箇所がいくつか生じています。

 

①産業医の職場巡視頻度について

地上では月1回とされている職場巡視は、船内巡視においては少なくとも年1回の実施とされています。

(衛生管理者の船内巡視は少なくとも月1回の巡視。※地上の場合は週1回)

また、オンラインを活用しての巡視も可能とされています。(リアルタイムの対応に限る)

 

②常時50名のカウント方法について

乗船下船という定義も生じるため、改めて整理しておきましょう。

「常時50人以上の船員」の「船員」とは?

「常時50人以上の船員」の「船員」とは、いわゆる常用雇用の船員のみが該当するのではなく、 例えば、臨時雇い(期間雇用等)の船員であるか否かを問わず、季節的事業において使用される 船員についても、当該「船員」に該当します。

 派遣船員については、派遣先である船舶所有者と、派遣元事業主である船舶所有者の双方に おいて、当該「船員」の数に含めることになります。

「常時~使用する」とは?

「常時50人以上の船員を使用」とは、常態として、使用している船員の数が50人以上であること をいうものです。

例えば、怪我や病気等により急な船員の下船があった場合に、当該船員を予備船員として雇用を 維持しつつ、代替要員の補充のために採用をした場合の船員の増員については、常態として使用 されていた船員に加えて、その船員の下船期間に限り代替的に増員したものであるため、「常時~ 使用する」には該当しません。

⇒ 上記のケースの「船員」の数のカウントとしては、下船した船員の人数を下船後も 引き続き含める一方で、補充した船員の数は含めないことになります。

 上記「船員の定義」のとおり、臨時雇いの船員や派遣船員も、「常時50人以上の船員」の「船員」 の定義には含まれますが、上記のような代替的な増員に該当する場合には、「常時~使用する」 には該当しないことになります。

他方で、増員であっても、体制強化等のために定常的な増員をするような場合は、当該増員し た船員は、「常時~使用する」に該当することになります。

 

産業医による 船内巡視等の実施 船員の 働き方改革 - 手順書 -/国土交通省海事局 より引用

 

以上です。

 

実際の船舶での産業医対応についての手順書も国土交通省から案内されています。

産業医による 船内巡視等の実施 船員の 働き方改革 - 手順書 -/国土交通省海事局

とても参考になる情報がまとめられていますので、法改正の対象となる企業様は是非ご参照ください。

 

 

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