2025年6月5日

産業医

こんな産業医サービスには気をつけたい!?産業医の先生方から聞いた評価まとめ

職場でのメンタルヘルス不調者発生の問題や、ストレスチェック制度・働き方改革といった法改正の施行が続いていることもあり、事業者(企業)による産業保健の取組がますます注目を集めています。そういった状況に伴い、ここ10数年で数多くの産業医紹介サービスが誕生しています。

 

インターネットで「産業医紹介」と検索すると、それらのサービスの紹介サイトが次々と表示されますが、

「どこも似たような内容で、サービスの違いがわからない」

といった印象をお持ちになる検索者(=産業医選任を検討していらっしゃるであろう企業のご担当者)も多いのではないでしょうか。

 

「どのサービスを利用したら良いのか?もしくは利用を避けた方が良いのはどれか?」

と疑問をお感じになる方もいらっしゃるのではないかと思います。

 

そこで本コラムでは、実際に産業医の先生方にお聞きしたエピソードをまとめ、産業医の立場から見た各サービスの印象について、

「こういったサービス会社は利用しない方が良い(企業のご担当者が苦労していた)」

といった意見のあったポイントをご紹介させていただきます。

 

1.サービス会社の担当者がころころ変わる。

企業と産業医の間に入り調整役を担うのが、産業医サービス会社の役割となります。

この調整窓口の担当者が頻繁に交代することで、

「企業が産業医に依頼したい内容が全く先生に伝わっておらず、業務に支障が生じた。」

「以前取り決めていた話が引き継がれておらず、トラブルに発展した。」

といった問題が発生している状況をお話ししてくださった先生が複数名いらっしゃいました。

 

中には、特定の担当を決めず毎回異なる窓口担当者が対応するサービス会社もあるとのことです。

このサービス会社利用のケースでは、企業ご担当者がサービス会社に何度連絡をしても毎回担当者が変わるために意思疎通ができず、困り果てた企業ご担当者が産業医の先生に直接相談し、先生からサービス会社に改善を指示したそうですが、対応は改善されなかったそうです。

ここまでの状況になると、サービス会社の利用がデメリットでしかないと言えるでしょう。

 

2.企業に産業医の連絡先が共有されない(産業医に連絡できない)

契約時に、担当産業医の連絡先を開示しないサービス会社もあるそうです。

産業医とのやりとりに必ずサービス会社を挟む必要が生じるため、

・些細な確認にも時間がかかってしまう

・産業医の専門的な意見が聞きたい時に対応がしてもらえない

などの課題が生じてしまうケースです。

 

企業としては、いつ起きるかわからない事業場での健康管理問題について、いつでも相談できる専門窓口の確保が重要となります。

まさにその窓口として、その専門性を活用いただけるのが産業医なのですが、産業医と直接連絡をとることができない状況では、その役割を活用することに支障が生じるのは当然です。

例えば、法務関係については弁護士を、税務関係には税理士の顧問をつけている企業も多いと思いますが、この顧問に必要な時に連絡が出来ない状況だと考えると、とても使い勝手の悪いサービスだということがイメージしやすいのではないでしょうか。

もし個人情報保護の観点で先生の直接の連絡先共有ができないという場合でも、企業としては必要な時に産業医に相談できる環境は確保できるサービスの利用を検討したいものです。

 

このケースについてお話してくださった先生においては、さらに上記1のケースも重なった状況が発生していたそうで、「とても産業医業務を全うできる環境ではなかった」と仰っていらっしゃいました。

 

3.サポートがオールリモート対応

コロナ過以降、オンラインツールの活用が一気に広がり、サービス案内の商談などもオンラインで対応する機会が多くなりました。

そんな状況の中、産業医紹介の対応をオールリモートで完結しているサービス会社もあるそうです。

 

産業医の先生と企業のお顔合わせや初回産業医訪問の際、事業場現地には産業医の先生のみが訪問し、サービス会社の担当者はオンラインで参加する対応とのこと。

 

サービス会社の担当者は現地の状況を一度も見ないまま契約が開始するため、

契約後のサポートについても、状況を把握できていない不十分な対応になるケースが生じているそうです。

また、そのような状況では現地訪問をする産業医の先生が、細かなサポートを含めてすべての顧客対応を求められることもあるため、ご負担の高さから、担当産業医の早期辞任といった状況も発生しているようです

※実際にお話をお聞かせくださった先生も、契約時から違和感を感じ開始1年で辞退されたとのことでした。

 

4.基本プランが隔月1回30分訪問

サービス会社が増えたことで生じた価格競争の影響でしょうか、

「基本プラン隔月1回30分」の提案を行っているサービス会社もあるとのことです。

 

産業医の先生方の意見として、

「2か月に1回30分だけの時間では、とても十分な産業医業務は行えない」

との回答が多く寄せられています。

 

2017年に改正された「産業医の職場巡視義務を2か月に1度にできる」新ルールに沿って、産業医の隔月訪問のプラン提案が登場し、予算を抑えながら法令遵守の体制を手配したいという事業者の要望に応えるプランとして、導入されるケースも増加しています。

 

ただ、上記改正の趣旨は、「産業医のより効率的かつ効果的な職務の実施を行うため」と通達の中でも明記されています。

産業医が行うべき業務を行えていない状況では、労働基準監督署の監査時に是正勧告を受ける可能性も生じるでしょう。

 

例えば契約時間が足りないために

・健康診断結果の産業医による就業判定が行えていない

・メンタルヘルス不調者が発生しているが、産業医面談を行うなどの措置を行っていない

などの状況が発生していれば、法令違反や安全配慮義務違反の責任追及を受ける可能性も出てきます。

 

もちろん責任は企業が義務違反として問われますから、「産業医契約を締結しながら法令違反の状況になっている」という、企業としても、なんのために予算をかけているのか分からない状況も生んでしまいます。

 

産業医対応は法令で定められた対応となるため、法令の趣旨を改めて確認し、不十分な対応となってしまっていないか、しっかりと確認することが重要です。

 

5.就業制限を乱発し、制限解除料を別途請求するサービス

最後は、これまでで一番驚いたケースについてご紹介します。

健康診断後の就業判定について、有所見者のほぼ全てに就業制限をかける産業医サービスがあるとのことです。

もちろん、健診結果について必要な制限をかけるのも産業医の重要な職務です。

ただこのケースで違和感を感じたのが、「就業制限を解除する意見を産業医からもらうのに、別費用がかかる」という点でした。

 

こちらの企業では複数事業場で異なる産業医を選任していた為、該当のサービスを利用している1事業場のみで上記の問題が発生しており、他事業場との対応の違いに気づくことができたそうです。

企業のご担当者が違和感を感じ、別の産業医の先生にご相談し、該当の有所見者結果も確認いただいたところ「フォローは必要だが、いずれも就業制限をかけるほどのものではない」との回答がありました。

 

健診事後措置の判定については、産業医の先生方それぞれが判断される対応ではあるものの、健診結果の各項目の数値には、一定の基準値が設けられています。

今回のケースでは基準値を大きくオーバーしていない結果についても就業制限がかけられており、また制限内容も一律に同じ内容だったとのこと・・・

再確認を担当された産業医の先生からは

「どうして就業制限(それも皆同じ制限内容)となったのか、まったくわからない・・・」

とのリアクションも。

 

本ケースでは、上記の情報収集結果と、就業制限解除に別途費用が掛かるという条件も含めて企業で対策検討をすすめ、該当サービスとの契約を解除し、後任の産業医の確保を進める対応を取られたとのことでした。(結果、状況は解決されたそうです。)

 

 

 

 

上記のように、様々な産業医サービスが存在しています。

せっかく導入したサービスが思ったような対応ではなかった・・・などという状況が生じないよう、ご検討の際はしっかりとサービス会社の対応内容を確認いただくことをお勧めいたします。

 

なかなかWEB上の情報だけですべてを確認、判断することは難しいと思います。

判断のポイントとしてお勧めするのは、サービスの担当者が「検討の中で不安に感じていることについて、しっかりと回答してくれて、不安の解決が可能なサービスを提案してくれるかどうか」をご確認いただくことです。

冒頭で記載した通り、産業医サービス会社が急増している状況もあり、産業保健についての知見が浅いサービス担当者の存在も少なくありません。

サービス会社のホームページに記載されている情報だけでなく、自社の取組に伴奏してくれるサービス担当者自身が頼れる存在になりそうかどうか(そもそも担当者がついてくれるのかどうかも含め)を是非ご確認いただければと思います。

 

 

 

 

 

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