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「産業医になるためには医師免許のほかに特別な資格が必要なのか?」「産業医は、どのような専門的知識を学ぶのか?」
産業医としてのキャリアや業務を検討している医師の中には、このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、「産業医」という独立した国家資格があるわけではありませんが、産業医として選任されるには、医師免許に加えて、労働者の健康管理に必要な医学的知識について厚生労働省令で定められた要件を満たす必要があります。
本記事では、産業医になるために必要な資格・要件や、必要な研修の種類、実際に産業医として働くまでの流れをわかりやすく解説します。
産業医としての業務を検討されている方はぜひ参考にしてください。

産業医とは、事業場で働く労働者が健康で安心して仕事に専念できる労働環境・体制を整えるために、専門的立場から指導・助言を行う医師です。
病院や診療所の医師とは異なり、日常業務の中心は診察や治療ではありません。労働者の心身の健康管理や職場環境の改善、過重労働対策、メンタルヘルス対策など、多岐にわたる分野で企業をサポートする役割を担っています。
労働安全衛生法では、「常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わせなければならない」と定められています。
事業場の規模に応じた産業医の詳しい選任人数等について知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

産業医は「医師であれば誰でもなれる」わけではありません。
そのため、病院や診療所のすべての医師に産業医の依頼ができるわけではない点に注意が必要です。
産業医は「労働安全衛生規則第14条第2項」に基づき、以下のいずれかの要件を備えた者から選任しなければなりません。
(参考:労働安全衛生規則)
《労働安全衛生規則第14条第2項》
一. 法第十三条第一項に規定する労働者の健康管理等(以下「労働者の健康管理等」という。)を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であつて厚生労働大臣の指定する者(法人に限る。)が行うものを修了した者
二. 産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であつて厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であつて、その大学が行う実習を履修したもの
三. 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
四. 学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常時勤務する者に限る。)の職にあり、又はあつた者
五. 前各号に掲げる者のほか、厚生労働大臣が定める者
つまり、分かりやすく整理すると下記のようになります。
(1)厚生労働大臣の指定する者(日本医師会、産業医科大学)が行う研修を修了した者
(2)産業医の養成課程を設置している産業医科大学その他の大学で、厚生労働大臣が指定するものにおいて当該過程を修めて卒業し、その大学が行う実習を履修した者
(3)労働衛生コンサルタント試験(試験区分が保健衛生)に合格した者
(4)大学で労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授、常勤講師又は経験者

産業医になるためには、医師免許に加えて労働衛生に関する専門的知識が必要になります。
産業医の資格を取得するための主な方法は、以下の4つです。
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
産業医の資格をとる方法のひとつは、 厚生労働大臣が指定した講習・講座を修了することです。
研修・講座の中で代表的なものとして、「日本医師会の産業医学基礎研修」「産業医科大学の産業医学基本講座」があげれられます。
以下で、それぞれの特徴を紹介していきましょう。
産業医になる方法はいくつかありますが、医師会の産業医研修を受けて資格を取得した産業医が最も多く、産業医活動を行うために必要な基本的知識・技術を修得できる研修です。
基礎研修の内容(50単位以上で、1時間の研修を1単位とする)は以下になります。
➀前期研修(14単位以上)
入門的な研修
・ 総論2単位
・健康管理2単位
・メンタルヘルス対策1単位
・ 健康保持増進1単位
・作業環境管理2単位
・作業管理2単位
・有害業務管理 2単位
・産業医活動の実際2単位
上記8項目の研修については、それぞれの単位の修得が必要です。
②実地研修(10単位以上)
主に職場巡視などの実地研修、作業環境測定実習などの実務的研修
③後期研修(26単位以上)
地域の特性を考慮した実務的・やや専門的・総括的な研修
日本医師会ならびに都道府県医師会(複数の都道府県医師会で実施する場合も含む)
研修会ごとに、申込み先・申込み方法・受講料等が異なります。各研修会の申し込み方法等については日本医師会のホームページ内の「日本医師会認定産業医/認定健康スポーツ医管理システム」から希望の研修会を確認して、詳細を確認しておきましょう。(参考:研修会(講習会)検索 | MAMIS)
開催時期や日程は主催する医師会によって異なり、春~秋(3月~10月頃)に開催されることが多い傾向です。 集中形式(6日間など)、2日間形式、1日形式など主催者によりさまざまですので、修了したい時期や自身の就業状況・プライベートとのバランスを加味し、受講することができるかどうか確認しましょう。
(参照:トップページ | 日本医師会 全国医師会産業医部会連絡協議会)
求人ジャーナル産業医サポートチーム産業医学基礎研修50単位修了後の新規申請は、研修最終受講日から5年以内に1回限り申請できます。
できれば早めに申請手続きを行うことをお勧めします。
「産業医学基礎研修会集中講座」は産業医科大学が実施している講座で、産業医科大学の卒業生でなくても受講できます。
約6日間の集中カリキュラムで構成されており、産業医として選任されるために必要な研修単位を短期間でまとめて取得できることから、非常に人気の高い講座です。
修了後には「産業医学基本講座修了認定書(産業医科大学産業医学ディプロマ)」が授与され、この書類は労働基準監督署へ提出する際の書類として利用できます。また、日本医師会に申請することで、日本医師会認定産業医の資格も取得可能です。
【産業医大学】 原則として100名程度 (北九州市八幡西区医生ヶ丘1-19)
【東京事務所】 原則として35名程度 (東京都千代田区神田司町2-2又はJR神田駅近辺)
・開催年度の4月上旬ごろに申込が開始
・HPから手続きを行い、受講者は抽選で選ばれるシステム
基本的に7月下旬から8月上旬の月曜日から土曜日の6日間、計50時間の講座
科目の履修認定については、原則単位年度での履修が原則です。
授業科目のうち一部の科目について履修認定を受けた場合、その科目については、履修認定を受けた日から起算して、原則として3年を経過した日の属する年度の末日まで有効となり、それまでに残りの科目を受講する必要があります。
求人ジャーナル産業医サポートチーム令和5年度までに17,000人以上の受講者を迎え、日本国内における短期集中型の研修会としては最大規模です。
(参照:産業医科大学|産業医学基本講座 概要)
産業医の養成課程を設置している産業医科大学で、厚生労働大臣が指定する実習を修めて卒業し、医師免許を取得することで産業医の資格を得る方法です。
在学中から産業医を目指す医学生にとっては、医学教育に加えて体系的に産業医学教育を受けられ、卒業と同時に産業医資格を得られるので時間的にも経済的にも圧倒的に有利と言えます。
また、産業医科大学では卒後研修も充実しており、産業医として必要な実践力や専門的知識の修練をおこなうことができます。
厚生労働大臣が指定したコンサルタント試験機関である(公財)安全衛生技術試験協会が実施する「労働衛生コンサルタント試験」に合格する方法です。
試験には、「保健衛生」と「労働衛生工学」の2つの区分があり、産業医になるためには、医師免許を取得した上で「保健衛生区分」に合格する必要があります。
試験内容は以下の通りで、詳しい内容は、(公財)安全衛生技術試験協会のホームぺージをご確認ください。
2024年度の労働衛生コンサルタント試験の最終合格率は、23.5%(※)です。
| 試験の種類 | 2024年度 受験者数(人) | 2024年度 合格者数(人) |
| 筆記試験 | 858 | 232 |
| 口述試験 | 566(348) | 284 |
(注意)労働衛生コンサルタント試験の口述試験受験者数欄の( )内は、筆記試験全部免除者数で内数
(※)最終合格率は、口述試験合格者数÷(筆記試験受験者数+筆記試験全部免除者のうち、実際に口述試験を受験した者の数) × 100%とする。(参考:統計 | 公益財団法人 安全衛生技術試験協会)
(参照:労働衛生コンサルタントの資格紹介・受験資格 | 公益財団法人 安全衛生技術試験協会)
筆記試験及び口述試験(同年度の筆記試験に合格した者)
《試験科目》
労働衛生一般 択一式(30問 300点)
労働衛生関係法令 択一式(15問 150点)
専門科目 記述式(2問 300点)
※専門科目は健康管理・労働衛生工学から試験の区分に応じて該当する1科目を選択
申込は、郵送とオンライン申請どちらでも可能
筆記試験の申込時期:例年7月
口述試験の申込時期:例年11月(筆記試験全免除者のみ)
受験資格:医師法の医師国家試験に合格した者、医師免許を受けた者とみなされた者及び医師免許を受けることができる者 他
(注意)受験資格については、労働安全・労働衛生コンサルタント試験日程 | 公益財団法人 安全衛生技術試験協会をご確認ください。
全国の安全衛生技術センター
試験日程:例年10月中旬
合格基準:総点数のおおむね60%以上
ただし、1科目につき、その満点の40%未満のものがある場合は、不合格。
結果通知:12月上旬に協会のホームページに合格者の受験番号を掲載
12月下旬に、合格の場合は「口述試験受験票」を送付、それ以外の場合は「筆記試験結果通知書」を送付。
試験日程:大阪は例年1月中旬、東京は例年1月下旬
合格基準:4段階評価の上位2ランクのものを合格
※口述試験の合格者をもって、最終合格者とする。
結果通知:2月下旬に協会のホームページに合格者の受験番号を掲載
合格の場合は「合格証」、それ以外の場合は「口述試験結果通知書」を送付
また、所持している資格や経歴により、受験科目の免除を受けることができます。
「労働衛生一般」「健康管理」2科目が免除になり、加えて下記の講習を修了すれば、保健衛生区分において全科目の筆記試験が免除されます。
・公益社団法人日本医師会が行う「産業医学講習会」
・学校法人産業医科大学が実施行う「産業医学基本講座」
ただし、産業医研修(「認定産業医研修会」、「基礎研修会」など)は該当しません。
大学で労働衛生に関する科目を担当する講師以上のもの、もしくは経験者も産業医として活動する資格を得ることができます。

「産業医=認定産業医ではないの?」「認定産業医って他の産業医と何が違うの?」と疑問に思う方が多いかもしれません。
「認定産業医」は、決められた研修を受講して日本医師会からの認定を受けた産業医を指します。
大きな違いは、の違いは、「認定産業医」は、5年毎の更新制で更新時には20単位以上の所定の研修を受講する必要があり、他の産業医は更新が不要ということです。
日本医師会は、産業医の資質向上と地域保健活動の一環である産業医活動の推進を図るために、「日本医師会認定産業医」の称号を設けています。
企業によっては、産業医契約の条件として「認定産業医」であることを求める場合もあり、認定を取得することで活動の場が広がることが期待できるでしょう。
| 項目 | 産業医 | 認定産業医 |
| 資格要件 | 労働安全衛生規則第14条第2項を満たしている | 日本医師会によって認定を受けた産業医 |
| 更新の要否 | 更新は不要 | 5年毎に更新が必要 |
| 更新時の研修 | 更新は不要 | 5年間で20単位以上の所定の研修受講が必要 |
| 企業との契約 | 産業医として活動できる | 企業の規模によって、「認定産業医」であることが条件となる場合があるため、活動の幅が広がる |
以下、「認定産業医」の登録申請について解説しています。

産業医の研修を修了した後、日本医師会認定産業医の資格を得るためには、登録申請が必須です。
産業医学基礎研修50単位修了後の新規申請は、研修最終受講日から5年以内に1回限り申請できます。そのため、修了後、できる限り速やかに申請を行うことをおすすめします。
都道府県医師会に用意してある認定産業医新規申請書に審査・登録料10,000円を添えて所属の都道府県医師会(医師会員でない医師は勤務地の都道府県医師会)に提出します。
申請方法、申請受付期間は都道府県医師会によって異なりますので、都道府県医師会に確認してください。
《申請書類》
・認定産業医新規申請書
・医師免許証の写(医師会員は不要)
・産業医学研修手帳(Ⅰ)もしくはMAMIS単位取得状況画面の写し、または産業医科大学産業医学基本講座修了認定書、産業医科大学産業医学基礎研修会集中講座修了認定書など
求人ジャーナル産業医サポートチームMAMISとは、「Medical Association Member Information System(医師会会員情報システム)」の略称で、日本医師会が提供するWebシステムです。医師会への入会・異動・退会手続きや、各種研修会への申し込み、単位の管理などをインターネット上で行うことができます。
認定産業医新規申請書の申請後、都道府県医師会長が申請者の基礎研修受講状況などを審査した上で、日本医師会長に申請します。
その後、日本医師会長が、医師について審査を行って認定して認定証を交付という流れです。
日本医師会は、認定産業医登録台帳に認定証被交付者名などを登録します。
登録有効期間は5年になりますので、更新手続きを忘れて資格が失効しないように注意しましょう。

認定産業医資格の登録有効期間は5年であり、更新が必要な主な理由として、以下の点があげられます。
更新には認定証に記載されている有効期間中に更新手続きをしなければなりませんので、しっかり更新の流れを把握しておきましょう。
更新には、認定証の有効期限内に「生涯研修」を20単位以上取得しなければなりません。
日本医師会が行う産業医学講習会のほか日本医師会の指定を受けて都道府県医師会、郡市区医師会、教育機関が行う認定産業医の生涯研修のための研修会、公益財団法人産業医学振興財団が主催する講習会でも更新に必要な単位を取得することができます。
生涯研修会の日程等は、日本医師会雑誌や全国医師会産業医部会連絡協議会などのホームページに掲載されるので、余裕をもって準備しましょう。
生涯研修 20単位以上が必要で1~3が1単位以上含まれていなければなりません。
1.更新研修(1単位以上) 労働衛生関係法規と関係通達の改正点などの研修
2.実地研修(1単位以上) 主に職場巡視などの実地研修、作業環境測定実習などの実務的研修
3.専門研修(1単位以上) 地域特性を考慮した実務的・専門的・総合的な研修
(但し、1時間の研修を1単位とする。)
(参照:トップページ | 日本医師会 全国医師会産業医部会連絡協議会、講習会のご案内 – 産業医学振興財団)
求人ジャーナル産業医サポートチーム日本医師会の産業医学講習会を受講し修了すると、労働衛生コンサルタントの筆記試験が免除になります。
更新手続きに必要な書類に審査・登録料10,000円を添えて所属の都道府県医師会(医師会員でない医師は勤務地の都道府県医師会)に提出します。申請方法、申請受付期間は都道府県医師会によって異なりますので、都道府県医師会に確認してください。
更新手続きに必要な書類は、
1.認定産業医更新申請書(更新手続きが必要な時期になったら、都道府県医師会から直接送付されます)
2.産業医学研修手帳(Ⅱ)(生涯研修20単位以上のカリキュラムを修了したことが証明されていること)など
申請後の審査・登録は新規のときと同じ流れになります。

産業医資格を取得するために、「研修や講習を修了しなければいけない」「研修費用がかかる」「5年ごとにまた研修を受けて更新申請が必要…」と手間やコスト面での負担を感じる方もいるでしょう。
しかし産業医の資格要件満たすことには大きなメリットがあります。ここでは、産業医として働くメリットについて紹介してきます。
産業医の資格を取得することで、医師としての活動範囲は大きく広がります。
産業医業務の一番の特徴は、労働者の健康管理や疾病予防に貢献できる点です。臨床医と異なり、事業場で診断や治療といった医療行為を行うことはできません。
しかし、健康診断の結果を踏まえた指導・助言やストレスチェックの実施、職場環境の改善提案などの業務を通じて一次予防に関与することができます。
労働者が多くの時間を過ごす「職場」というフィールドにかかわり、病気の発症を未然に防ぐことができる点は産業医ならではの大きな魅力です。
さらに、企業と連携しながら指導・助言をおこなうため、臨床の現場では得にくい経営や法令、行政に関する知識も身につきます。これらの経験から将来開業する際にも大きな強みになるでしょう。
「専属産業医」は、原則、企業と常勤として雇用契約を結びます。
出勤日数に関して、法律による定めはありませんが、週4日以上が望ましいとされています。一般的に3~5日で働くケースが多いようです。労働時間でみると、働きやすい環境といえるでしょう。
従業員数が常時1,000人以上の事業場または従業員数が常時500人以上の有害物質等を扱う事業場は、専属産業医を1名以上選任しなければいけません。また、従業員数が常時3,000人以上の事業場は、産業医を2名以上選任するよう定められています。
以下で、専属産業医して勤務するメリットについて紹介します。
1. 企業に常駐するため、会社の環境や実情、労働者の変化を把握しやすく、状況に応じた迅速で的確な対応が可能になる。
2.専属産業医の選任が義務づけられているのは、労働者数1,000人以上の事業場であるため、大企業で働くことになり、手厚い福利厚生を受けれる。
3.臨床現場とは異なり、一般的には土・日・祝日が公休日で、勤務時間も原則として定時のため、生活にゆとりがうまれやすい。
産休・育休も取得しやすく、介護や子育て中の医師には働きやすい環境といえる。
4.産業医で得た知識とスキルを医師の仕事に活かすことができる。
5.急患やオンコールといった急な呼び出しがないため、精神的・体力的な負担を軽減できる。
「嘱託産業医」は、非常勤として雇用契約を結び、月1回程度事業場を訪問して、労働者の健康管理や職場環境の改善に関する指導・助言をします。
対象となる事業場は、従業員数50人以上999人以下で、多くの嘱託産業医は通常は病院や診療所で働き、開いたスケジュールで産業医の仕事をしているケースが多いです。
以下で、嘱託産業医として勤務するメリットについて紹介します。
1.嘱託産業医は1回当たりの勤務時間が1~2時間と短いため、自院での診療や常勤業務の空いた時間を使って、効率的に収入を得ることができる。
2.複数の企業と契約することができ、自分のスケジュールに合わせて柔軟な働き方ができる。
3.一定条件を満たせば、面接指導をオンラインで実施することが可能になったので、複数の企業と提携しやすい環境になった。
4.産業医で得た知識とスキルを医師の仕事に活かすことができる。

近年、働き方改革関連法の施行により、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための産業医・産業保健機能の強化が図られています。
長時間労働やメンタルヘス問題、パワハラ問題、過労死を防ぐためには、企業が率先して働きやすい環境づくりに取り組むことが重要であり、その実現のためには産業医の存在は不可欠です。
今後の産業医の需要が高まる理由について紹介します。

厚生労働省の資料によると、認定産業医有効者のうち産業医活動を行っている者は半数弱にとどまっています。 表面的には産業医資格保有者数は一定数存在しているように見えますが、実際の稼働者は限られており、企業が必要とする産業医を十分に確保できていない現状が浮き彫りとなっているといえるでしょう。
この背景には、産業医業務が副業・兼業として行われるケースが多いことや、本業との両立が難しいと感じる医師が多いことなど、さまざまな要因が存在すると考えられます。
(参考:産業保健のあり方に関する検討会 第2回資料 |厚生労働省 医師会が関わる産業保健の現状)
加えて、産業医として活動する医師の多くが50〜60代に集中しており、今後の退職・引退に伴って産業医人口がさらに減少する可能性も一つの要因です。
地域分布においても偏在が顕著で、大都市圏には比較的多くの産業医が集まっている一方、地方では産業医の確保が極めて難しい状況が続いています。とくに地方では医師全体が不足している傾向があるため、産業医として活動できる医師がさらに限定されるのは明らかです。
こうした状況を踏まえ、2020年に一定の条件を満たせば、労働者への面接指導をオンラインで実施することが可能になりました。
兼業産業医や嘱託産業医にとって働きやすい環境が整いつつあるだけでなく、企業にとっても柔軟な産業医選任が可能となりつつあります。遠隔地の事業場支援や複数拠点を持つ企業にとっては大きなメリットとなるといえるでしょう。
現行の労働安全衛生法では、従業員50人以上の事業場は産業医の選任が義務付けられています。
さらに、2025年5月の改正により、従業員50人未満の事業場でもストレスチェックの実施が義務化されることになりました。
この義務化は、公布から「3年以内」に政令で定める日から施行される予定です。これに伴い、今後、法的義務の対象となる事業場が増加すると見込まれており、産業医に対する需要が一段と高まると考えられます。

「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要」の事業所調査によると、過去1年間 (令和5年11月1日から令和6年10月31日までの期間) にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所の割合は12.8%でした。
メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所が1割を超えるという結果は、決して低い数字ではなく、企業にとって人材不足や生産性の低下につながる重要な課題と言えます。
このような状況を踏まえると、今後ますます事業所が積極的にメンタルヘルス対策に取り組む必要があり、その中心的役割を担う産業医が重要性は一層高まると考えられるでしょう。
(参考: 令和6年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概要|厚生労働省 事業所調査)
労働者にとって職場は長時間を過ごす場所であり、業務内容や人間関係、職場の雰囲気、ハラスメントといったさまざまな要因が精神的・肉体的な負担となります。
近年は働き方改革の推進により、フレックスタイム制、テレワーク、時短勤務といった多様な働き方が導入され、働く環境は大きく変化していますが、依然として長時間労働は大きな課題となっています。
また、オフィス設備に代表される物理的環境(バリアフリー、安全性、清潔さ、照明、温度、騒音など)も労働者の健康や快適性に影響を与える重要な要素の1つです。 人材不足が深刻化する現代において、優秀な人材を確保するためには、働きやすい環境を整備することが不可欠です。
そのためにも、産業医が専門的な立場から職場環境の改善や健康管理について助言を行う役割は、今後ますます重要性を増すと考えられます。

職場巡視は、少なくとも毎月1回(一定の条件を満たせば2ヶ月に1回も可)は職場を巡視しなげればなりません。
産業医の職場巡視は、労働安全衛生規則により義務付けられており、労働者の健康状態のチェックや職場の環境、設備の安全性、喫煙状況などの労働環境の確認を専門的な立場からチェックします。
もし、問題があると判断した場合にはすぐに労働者の健康障害を防ぐための対策を取らなければいけません。
産業歯科医とは、一定の有害な業務(塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗(ふつ)化水素、黄りんその他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務)に従事する者に対して健康診断を行う歯科医師のことです。
労働安全衛生規則により、常時50人以上の労働者を従事させる特定の有害業務場では、労働者の歯又はその支持組織に関する事項について、適時、歯科医師の意見を聴くことが義務化されています。
産業医は、「労働者の健康管理等」の業務を行うもので、医療行為は労働安全衛生法に定める産業医の業務に含まれないため、基本的に産業医が行うことはできないと考えられます。
企業から「インフルエンザ予防接種を打てますか?」という質問をされるケースがありますが、「予防接種を行う」ことは医療行為になるため、「産業医」としてではなく「医師」としておこなうという認識が正しいです。
医療行為を行うことができる場所は、病院・診療所・老人保健施設その他医療を提供する施設といった医療法で定められた施設に限られます。
そのため、事業所内に企業内診療所が設置されていれば、診察や検査などの医療行為にも対応できるようになります。

産業医は、従業員が50人以上の事業場であれば選任しなければならず、選任義務がある事業場にもかかわらず産業医がいない場合は、法令違反になります。
そのため、「産業医はどこで探せばいいの?」「すぐに産業医は見つかる?」と悩む企業担当者は少なくありません。産業医を探す主な方法は以下の通りです。
・医師会
・健診機関
・地域産業保健センター
・親会社や関連企業、既存の人脈を通じて紹介
・産業医紹介会社
内閣府の会議資料として公開されている「専属産業医の常駐及び兼務要件の緩和」では、従業員1,000⼈以上の事業所(専属産業医の選任が義務付けられている事業所)のうち、68.6%が「産業医の確保が困難」と回答した結果が報告されています。
特に、北海道・東北、東海、近畿では、「採用困難」が「採用容易」を大きく上回っており、困難である主な理由は次のような点です。
こうした状況から、産業医の人材不足が全国的な課題となっています。
さらに各地のすべての医師会が産業医を紹介しているわけでなく、健診機関に依頼しても所属医師が産業医資格を有していないケースも起こり得ます。
これらの要因により、企業が自力で産業医の確保が困難することは容易ではないと言えるでしょう。
産業医紹介会社では、専任のアドバイザーが担当し、企業にニーズにあった産業医を効率的に探すことができます。
医師会や健診機関を利用する場合は、一つひとつの機関に個別で問い合わせて、産業医の紹介が可能かどうか、サポート内容、自社のニーズにあった人材なのか、費用などの様々な事項を確認しなければなりません。契約することになっても、契約書の作成なども自社でおこなうことになります。
産業医紹介会社は自社と提携している産業医の特徴や得意分野を把握しており、条件に適した医師をスムーズに提案できる点が大きなメリットです。また契約書類の作成や後のサポートまでお任せできるので安心して利用することができます。
「求人ジャーナル 産業医サポート」はそれぞれの職場、それぞれの地域に沿った産業医のご紹介、健康管理運用をお手伝いいたします。
地域に根ざしてきた求人ジャーナルならではの強みを活かし、全国47都道府県の幅広いエリアで産業医のご紹介が可能です。
1. 企業の業務内容から産業医に求めることをまとめる
2. 現在、企業が抱えている問題点や改善したい点を確認する
3. 産業医の経験や資格を確認する
4. コミュニケーション能力や企業との連携する能力が備わっている
5. 産業医を選任する際の費用とランニングコストなどの料金
労働安全衛生法改正により、これまで努力義務だった常時50人未満の事業所に対するストレスチェックが義務化されます。求人ジャーナル 産業医サポートは、健康診断、ストレスチェック実施業務のサービスも提供しておりますのでまずはお気軽にお問い合わせください。
・厚生労働省 『労働安全衛生規則』
・公益財団法人安全衛生技術試験協会『統計』
・内閣府『専属産業医の遠隔化及び兼務要件の緩和』
・厚生労働省『令和6年度 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要 事業所調査』
・厚生労働省『医師会が関わる産業保健の現状』
産業医の探索・紹介から、 導入後の運用サポートまで 対応可能です!
産業医についての、「わからない」「みつからない」といったお悩みをお聞かせください。
法令遵守に必要な体制づくりのご案内、効果的な取組みのご提案など、貴社の状況に沿って丁寧に対応させていただきます。
ご契約締結までは、一切ご料金はかかりません。 お気軽にお問合せください。
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※お問い合わせは東京支社「産業医サポート」まで