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2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、これまで努力義務だった労働者数50人未満の事業場にも、ストレスチェックの実施義務が拡大されることになりました。
施行日は今後政令で定められますが、遅くとも2028年5月14日までに施行される予定です。
未実施による罰則の直接規定はないものの、報告書未提出や安全配慮義務違反のリスクを避けるため、企業の担当者は早期の体制整備と産業医との連携を行うことが求められます。
本記事では、初めて実施する企業でも迷わず進められる具体的な全手順と、受検率を高め職場改善に繋げるための秘訣を徹底解説します。

これまで、ストレスチェックは50人未満の事業場については努力義務とされていました。
しかし近年、メンタルヘルス不調者の増加や労働環境への関心の高まりを背景に、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場についても、ストレスチェックの実施が義務化されることになりました。
今後は企業規模にかかわらず、すべての事業場でストレスチェックの実施体制を整えることが求められます。
労働安全衛生法第66条の10に基づくストレスチェックは、労働安全衛生法施行令第5条に規定される「常時50人以上の労働者を使用する事業場」に実施義務が課されており、多くの企業で既に導入されています。
労働安全衛生法 第六十六条の十 (心理的な負担の程度を把握するための検査等)
事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、 保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)に よる心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
労働安全衛生規則 検査及び面接指導結果の報告
第五十二条の二十一 常時五十人以上の労働者を使用する事業者は、一年以内ごとに一回、定期に、電子情報処理組織を使用して、検査及び面接指導の結果等について、次に掲げる事項を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
制度改正により、ストレスチェックは2028年5月までに完全義務化される予定です。これにより、従業員50人未満の事業場も含め、すべての事業所が対象となります。
義務化の施行までには一定の猶予期間が設けられていますが、直前になって対応を始めると、体制整備や運用が間に合わない可能性があります。
そのため、以下のような準備を早期に進めておくことが重要です。
・実施者(産業医や保健師など)の選任
・実施方法(社内運用または外部委託)の検討
・社内ルールや運用フローの整備
ストレスチェックの実施自体は義務化されますが、結果を部署ごとなどで分析する「集団分析」については、引き続き努力義務とされています。
義務ではないため、実施しなくても罰則が科されたり行政指導の対象となったりすることはありませんが、集団分析は職場環境の改善につなげるうえで非常に重要な取り組みです。
例えば、集団分析を行うことで、以下のような効果が期待できます。
・部署ごとのストレス状況の把握
・業務負担や人間関係などの課題の可視化
・具体的な職場改善施策の検討
ただし、10人未満の集団では個人が特定されるおそれがあるため、原則として実施には慎重な対応が求められます。
10人を下回っていても集団分析は可能ですが、事業場の実態やプライバシー保護に十分配慮しながら、工夫して対応しましょう。

ストレスチェックはすべての労働者が対象になるわけではなく、事業場の規模や雇用形態、労働時間などによって対象範囲が定められています。
特に、実施義務の要件とストレスチェックの対象者には違いがあるため注意しましょう。ここでは、現行制度におけるストレスチェックの実施義務の要件と、どのような事業場・労働者が対象となるのかを整理していきます。
まずは、ストレスチェックの実施義務から確認してきましょう。
現行のストレスチェックは、「常時使用する労働者がいること」「常時50人以上の労働者を使用する事業場であること(報告義務を含む)」という条件を満たす事業者が、年1回必ず実施しなければならない制度とされています。
労働安全衛生規則(心理的な負担の程度を把握するための検査の実施方法)
第五十二条の九 事業者は、常時使用する労働者に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次に掲げる事項について法第六十六条の十第一項に規定する心理的な負担の程度を把握するための検査(以下この節において「検査」という。)を行わなければならない。
労働安全衛生規則(検査及び面接指導結果の報告)
第五十二条の二十一 常時五十人以上の労働者を使用する事業者は、一年以内ごとに一回、定期に、電子情報処理組織を使用して、検査及び面接指導の結果等について、次に掲げる事項を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
ここでいう「常時使用する労働者」とは、雇用形態にかかわらず、継続して使用している状態にあるかどうかで判断されます。
例えば週1回のみ勤務するアルバイトやパートであっても、継続して雇用され、常態として使用されている場合には、「常時使用する労働者」として50人のカウントに含める必要があります。
次に、ストレスチェックの対象となる労働者について確認します。
行政通達(平成19年10月1日基発第1001016号)では、「常時使用する労働者」について、以下の要件をいずれも満たす者とされています。
(1) 次のいずれかに該当する者
a 期間の定めのない契約により使用されている
b 1年以上使用されることが予定されている
c 更新により 1 年以上使用されている、のいずれかに該当する者
※特定業務従事者は、b・c の「1年」を「6か月」に読み替える
(2) 所定労働時間数が通常の労働者の4分の3以上である者
なお、1週間の所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満である場合であっても、実態に応じて対象とすることが望ましいとされています。
そのため、正社員は原則として対象となり、契約社員やパート・アルバイトであっても、一定の条件を満たす場合には対象となります。今後は50人未満の事業場にも対象が拡大される予定である点にも留意しておきましょう。
この「実施義務の要件」と以下で解説する「ストレスチェックの対象者の要件」には違いがあるため、混同しないよう注意が必要です。
前述の要件を踏まえると、次のような労働者は、法律上のストレスチェック実施義務の対象外となります。
・契約期間が1年未満で、更新により1年以上使用される見込みもない労働者
・1週間の所定労働時間が、通常の労働者の4分の3未満の短時間労働者
ただし、1年以上使用される見込みがあり、週の所定労働時間がおおむね2分の1以上の短時間労働者については、ストレスチェックを実施することが望ましいとされています。
したがって、これらの条件を満たさないパート・アルバイトや派遣労働者は、在籍労働者数に含める必要はありません。
また、取締役や監査役などの役員は労働者ではなく、使用者にあたるため、ストレスチェック実施の対象外とされています。

2028年5月14日までに予定されている制度改正により、これまで努力義務とされていた50名未満の事業場でも、ストレスチェックの実施が義務化される見通しです。
これにより、小規模事業場においても、実施体制の整備や運用ルールの構築が必要になります。特に、産業医選任義務がない企業では、「誰が実施するのか」「どのように運用するのか」が大きな課題となるでしょう。
まずは、50名以上事業場との違いを整理しておきましょう。
| 項目 | 50人以上 | 50人未満 |
|---|---|---|
| ストレスチェック実施 | 義務 | 義務化予定(2028年5月14日までに施行) |
| 産業医選任 | 義務 | 原則不要 |
| ストレスチェック実施者の確保 | 必要 | 必要 |
| 労基署への結果報告 | 必要 | 原則不要 |
| 衛生委員会 | 設置義務あり | 原則なし |
50名以上の事業場と同様に、ストレスチェックを実施するためには、医師・保健師などの「実施者」を確保する必要があります。
実施者の要件については、次のテーマ「ストレスチェックの具体的な流れ」で詳しく解説します。
50名未満の事業場では、産業医の選任義務がないケースも多いため、自社だけで対応することが難しい場合も多いでしょう。特に、面接指導や高ストレス者対応まで含めると、専門知識が必要になる場面も少なくありません。
そのため、小規模事業場では、実施者をどのように確保するかが実務上の大きなポイントといえます。
厚生労働省の「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」においても、小規模事業場では外部機関を活用した運用が推奨されています。
外部委託を活用することで、多くのメリットがあります。
■ 外部委託のメリット
・実施者の確保
・個人情報の適切な管理
・法令に沿った運用
・担当者の業務負担軽減
特に小規模事業場では、人事・総務担当者が他業務と兼任しているケースも多いため、専門機関へ委託した方がスムーズに運用できる場合があります。
求人ジャーナル産業医サポートでは、ストレスチェックの実施から高ストレス者対応、集団分析までトータルでサポートしています。はじめて対応する企業様でも安心してご相談いただけます。
50名未満の事業場では、ストレスチェック結果を労働基準監督署へ報告する義務は原則ありません。
しかし、報告義務がないからといって、制度運用を簡略化してよいわけではありません。
ストレスチェックの実施、高ストレス者への面接指導、個人情報の管理などは、法令や指針に基づいて適切に運用する必要があります。
特に、個人情報の漏えいや不適切な運用は、従業員からの信頼低下やトラブルにつながるおそれもあるため、運用ルールを事前に整備しておくことが重要です。
対応に不安がある場合は、外部委託を活用してサポートを受けるのも一つの方法でしょう。

ストレスチェックはただ実施するのではなく、手順に沿って進めることが重要です。ここでは、実務担当者が押さえておきたい基本的な流れを解説します。
まず最初に行うのが、ストレスチェックの中心となる「実施者」の選任です。
実施者は、ストレスチェックの企画や評価、面接指導の判断などを担う重要な役割を持ちます。
労働安全衛生規則では、実施者になれるのは以下の者と定めています。
労働安全衛生規則(検査の実施者等)
第五十二条の十 法第六十六条の十第一項の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者とする。
一 医師
二 保健師
三 検査を行うために必要な知識についての研修であつて厚生労働大臣が定めるものを修了した看護師又は精神保健福祉士
2 検査を受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、検査の実施の事務に従事してはならない。
実施者には医師や保健師などを選任できますが、産業医を実施者にすると、医学的な視点からの助言や、面接指導・就業上の措置への連携がスムーズになりやすいでしょう。
実施者の指示のもとで、調査票の配布・回収、データ入力、結果通知などの事務を行う者を「実施事務従事者」といいます。
ただし、検査を受ける労働者について、解雇・昇進・異動などに直接の権限を持つ監督的地位にある者は、実施事務に従事できません。


ストレスチェック制度を適切に運用するためには、あらかじめ社内ルールを策定し、労働者へ周知することが重要です。
厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」では、社内ルールの書式例が掲載されているため、参考にするとよいでしょう。
社内ルールでは、事業者が法令や指針に基づき、ストレスチェック制度に関する基本方針を明確にしたうえで、その内容を従業員に共有します。
具体的には、以下の事項を社内ルールとして定め、全従業員に周知しておきましょう。
・実施体制
・実施方法
・記録の保存
・個人情報の取り扱い
・情報の開示、訂正等及び苦情処理
・不利益な取扱いの防止(受検しないことを理由に不利益な扱いをしないこと)
特に重要なのが、個人情報の取扱いに関する説明です。
従業員が安心して回答できるよう、「結果は本人の同意なく会社に開示されない」ことを明確に伝える必要があります。
また、自社での運用が難しい場合は、外部の専門機関に委託する方法も有効です。特に小規模事業場では、個人情報保護の観点からも外部委託が適しているケースも多くあります。
求人ジャーナル産業医サポートではストレスチェックから集団分析、データに基づく職場環境の改善までトータルで支援しているため、ストレスチェック導入や運用の相談などお気軽にご相談ください。
準備が整ったら、実際にストレスチェックを実施します。紙の調査票やWebシステムを用いて、従業員に質問票を配布し、回答してもらいます。
質問内容は主に以下の3つの領域で構成されています。
・仕事のストレス要因(業務量、人間関係など)
・心身のストレス反応
・周囲からのサポート状況
配布や回収時の個人情報の取り扱いにも細心の注意を払いましょう。
回収した回答は、実施者が集計・分析を行い、ストレス状態を評価します。
そのうえで、高ストレス者に該当するかどうか、医師による面接指導が必要かどうかを客観的な基準に基づいて判定します。
この判定は専門的な判断が求められるため、産業医や保健師等が実施者となることがおすすめです。
ストレスチェックの判定結果は、実施者から直接本人へ通知されます。この際、本人の同意がない限り、企業側が結果の内容を知ることはできません。
企業が一方的に結果を把握できてしまうと、従業員が安心して回答できなくなるおそれがあるため、実務上では以下の点をしっかり周知しておくことが重要です。
・結果は本人にのみ通知されること
・会社が勝手に内容を見ることはできないこと
・面接指導の希望があった場合のみ、必要な範囲で情報が共有されること
従業員が安心して受検できる環境を整えることが、制度の効果を高めるポイントとなります。
ストレスチェックの結果、高ストレスと判定された労働者が面接指導を希望した場合、企業はその申し出に対応する義務があります。正当な理由なく拒否することはできません。
面接指導は、メンタルヘルス不調を未然に防ぐための重要な機会です。申し出があった場合は、速やかに医師との面接日程を調整し、適切に対応する必要があります。
また、面接指導を受けたことを理由に不利益な取り扱いを行うことは禁止されているため、その点についても社内で十分に周知しておくことが重要です。
ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定され、実施者が「医師による面接指導が必要」と認めた場合、労働者本人に結果が通知されます。
そのうえで、労働者から面接指導の申出があった場合、事業者は医師による面接指導の実施が必要です。
面接指導では、産業医や医師が本人と直接面談し、現在の業務状況や心身の状態について確認します。対面だけでなく、オンラインで実施されるケースも増えています。
主に以下のような内容が確認されます。
・業務内容や労働時間の状況
・ストレスの原因や感じ方
・睡眠や体調などの健康状態
・メンタルヘルス不調のリスク
これらを総合的に判断し、必要に応じて生活面や働き方に関するアドバイスが行われます。
なお、条件を満たせば情報通信機器を用いた面接指導(ビデオ通話など)の実施も可能です。詳しくは厚生労働省「情報通信機器を用いた面接指導の実施について」を確認しましょう。
面接指導の結果を踏まえ、企業は産業医から就業上の措置について意見を聴取します。
産業医の意見に基づき、労働者に対し、以下ような対応を検討します。
・残業時間の制限や禁止
・深夜勤務を減らす
・業務内容の見直し
・配置転換や業務軽減
ストレスチェックは個人への対応だけでなく、職場全体の改善につなげることが重要です。そのためには、集団分析の結果を活用し、組織として課題に取り組むことが求められます。
例えば、以下のような改善策が挙げられます。
・業務量の偏りを見直す
・コミュニケーションの活性化を図る
・管理職向けのマネジメント研修を実施する
このように、個人と組織の両面からアプローチすることで、労働者のストレス軽減と働きやすい職場環境の実現につながるでしょう。

ストレスチェックは、正しく運用することで大きな効果を発揮しますが、実施方法を誤ると十分な成果が得られない場合があります。
ここでは、実施時に押さえておきたい重要なポイントを解説します。
ストレスチェックの結果は、個人情報に該当します。そのため、取り扱いには細心の注意が必要です。
原則として、以下のルールを守る必要があります。
・結果は本人の同意なしに企業が閲覧することはできない
・データは厳重に管理し、漏えいを防止する
・取り扱いルールを事前に明確化し、関係者へ周知する
個人情報の管理が不十分だと、従業員の信頼を損なうだけでなく、法的リスクにもつながるため、慎重な対応が求められます。
ストレスチェックの効果を高めるためには、受検率を上げなくてはなりません。受検率が低いと、さまざまなリスクが発生することも事実です。
受検率を高めるためには、以下のような取り組みを行うとよいでしょう。
・制度の目的やメリットを周知する
・匿名性やプライバシーが守られることを説明する
・受検しやすい環境(Web実施や時間確保)を整える
従業員が安心して参加できる環境づくりが、結果的に制度の成功につながります。
ストレスチェックは「実施すること」が目的ではなく、その結果を活用して職場環境を改善することが本来の目的です。
ただ実施するだけでは、形だけの制度になってしまいます。結果を活かすためには、以下のような対応を検討しましょう。
・集団分析を行い、職場ごとの課題を把握する
・課題に応じた具体的な改善施策を検討・実施する
・定期的に効果を検証し、改善を継続する
このように、継続的な取り組みとして運用することは、従業員が働きやすい職場環境をつくる上で非常に重要です。
ストレスチェックの運用では、面接指導の実施や職場環境への助言など、専門的な判断が求められる場面が多くあります。そのため、メンタルヘルスを専門とする産業医と連携体制を整えておくと安心です。
産業医の専門的な視点を取り入れることで、以下のようなメリットがあります。
・高ストレス者への適切な面接指導が可能になる
・医学的な観点から職場環境の改善アドバイスが得られる
・法令に沿った適切な運用がしやすくなる
特に初めてストレスチェックを実施する企業にとっては、産業医や保健師といった専門家のサポートが大きな助けとなるでしょう。
求人ジャーナル産業医サポートは、メンタルヘルス専門の産業医が企業の課題を解消し、ストレスチェックの導入から運用までスムーズに進められるサービスを提供しています。ストレスチェックの体制整備や運用にお困りの際は、ぜひご相談ください。

ストレスチェックは企業にとって多くのメリットがあります。
積極的に活用することで、職場環境の改善や生産性の向上、メンタルヘルス不調の予防につながるでしょう。
ここでは、ストレスチェックを行う代表的なメリットを解説します。
ストレスチェックを実施することで、従業員のストレス状況が数値として出るため、職場ごとの課題が明確になります。
例えば、集団分析を行うと職種や部署ごとのストレスに対する傾向を把握することが可能です。
・特定の部署だけストレスが高い
・業務量や人間関係に偏りがある
・サポート体制が不足している
課題が明確になることで、感覚ではなくデータに基づいた改善施策の検討が可能になります。
ストレスチェックを通じて職場環境の課題を改善することで、従業員のストレス軽減が期待できます。
ストレスが軽減されると、以下のような変化が生まれます。
・集中力や作業効率の向上
・モチベーションの向上
・ミスやトラブルの減少
その結果、個々のパフォーマンスが高まり、組織全体の生産性向上につながるでしょう。
ストレスチェックの大きな目的の一つが、メンタルヘルス不調の予防です。定期的にストレス状態を把握することで、不調の兆候を早期に発見することができます。
特に、高ストレスと判定された従業員に対しては、医師による面接指導を行うことで、重症化を防ぐことが可能です。
また、個人だけでなく職場全体の傾向を把握することで、問題が深刻化する前に対策を講じることもできます。

ストレスチェックは、労働安全衛生法に基づく企業の義務です。そのため、実施しない場合は法令違反とみなされる可能性があります。
具体的には、以下のようなリスクがあります。
・労働基準監督署からの行政指導
・是正勧告の対象となる可能性
・万が一、従業員がメンタルヘルス不調を発症した場合に「安全配慮義務違反」を問われるリスク
特に、安全配慮義務違反は企業の責任問題に発展する可能性があるため、注意しましょう。
ストレスチェックそのものを実施しなかったことに対する直接的な罰則は設けられていませんが、実施報告書の提出義務があります。この報告を怠ったり、虚偽の内容で報告を行ったりした場合は、労働安全衛生法第100条および第120条に基づき、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、万が一労働者がメンタルヘルス不調で労災認定された際、ストレスチェックを適切に実施していなかったことが発覚すると、安全配慮義務違反として損害賠償などの責任を問われるリスクもあるため注意が必要です。
企業にはストレスチェックを実施する義務がありますが、従業員一人ひとりの受検は任意とされています。
そのため、以下の点に注意が必要です。
・受検を就業規則などで強制することはできない
・受検しなかったことを理由に不利益な扱いをしてはならない
ただし、受検率が低いと制度の効果が十分に発揮されないため、従業員が安心して受検できる環境づくりや推奨する取り組みも重要になります。
ストレスチェックは、専門業者へ外部委託することが可能です。むしろ、社内の事務負担を減らしたい企業や運用のノウハウが不足している企業にとっては、有効な選択肢の一つといえます。
外部委託には、以下のようなメリットがあります。
・回答の回収・集計を効率的に行える
・高ストレス者の判定を把握しやすい
・医師の面接指導の手配まで一括対応が可能
・匿名性が保たれやすく、従業員が安心して回答できる
ストレスチェックを外部委託し、自社の産業医にも「共同実施者」として加わってもらう運用も可能です。(※共同実施者とは、外部と内部で役割を分担して実施する形態を指します。)
この場合、産業医には「どんな調査票を使うか」「どの程度の点数で高ストレス者とするか」といった基準づくりに意見をもらったり、面接指導が必要な人の最終確認を行ってもらったりと、自社の実情に合わせた連携を意識することが大切です。
ストレスチェックの結果、労働者が高ストレス者と判断された場合には、面接指導を受ける必要があると実施者が認めた労働者のうち、面接指導の申出を行わない労働者に対しては、規則第52 条の6第3項の規定に基づき、実施者が、申出の勧奨を行うことが望ましいとされています。
しかし、高ストレス者全員に面接指導を必ず実施しなければならないわけではなく、あくまでも本人の希望によることが前提です。

ストレスチェック制度を適切に運用するためには、法令に沿った実施体制の整備や運用設計が欠かせません。対応を誤ると、労働者の信頼を失う原因にもなりかねるため、専門的な知見に基づいた対応が求められます。
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本記事では、ストレスチェック制度の概要から義務化の動向、対象者や実務対応のポイントまでを解説しました。
法令に基づき適切に制度を運用するためには、実施体制の整備や社内ルールの明確化、個人情報への配慮が重要です。
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