産業医はどこにいる?探し方4選とメリット・デメリット、自社に合う選び方を解説

従業員数が50人に達した企業や、2028年4月1日からの「ストレスチェック義務化」に向けて準備を進める企業のなかには、産業医をどこで探せばよいのか悩む担当者も多いのではないでしょうか。

従業員数50人未満の事業場では、法改正後も産業医の選任自体は義務ではありません。しかし、ストレスチェック実施後の高ストレス者への面接指導や、健康診断後の事後措置などには医師による対応が必要となるため、「必要なときに相談・依頼できる産業医をあらかじめ確保しておきたい」と考える企業が増えています。

産業医の探し方には、地域の医師会への相談や紹介会社の利用など、主に4つの方法があります。それぞれ費用やサポート内容、産業医とのマッチングのしやすさなどに違いがあるため、自社に合った方法を選ぶことが大切です。

本記事では、産業医を探す主な4つの方法について、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら解説します。あわせて、企業規模や課題に応じた選び方や、産業医選びで失敗しないためのポイントも分かりやすくご紹介します。

目次

産業医の選任が必要になる企業とは

産業医の選任が必要になる企業とは

産業医は、常時50人以上の労働者を使用する事業場で選任義務が発生します。

ここでいう「労働者」には、正社員だけでなく、パートやアルバイト、派遣社員などもすべて含まれるため注意が必要です。

また、選任義務は会社全体ではなく、事業場単位(支店や工場、店舗ごと)で判断されるため、それぞれの拠点で要件を満たしているか確認しておきましょう。

産業医の探し方を確認する前に、自社が選任義務の対象となる条件や期限、未選任のリスクを把握しておくことが大切です。

産業医選任の重要ルール4つ

  • 対象: 常時50人以上の労働者を使用する事業場
  • 期限: 労働者数が50人に達した日から14日以内に産業医を選任する
  • 手続き: 選任後は、遅滞なく管轄の労働基準監督署へ「産業医選任報告(選任届)」を提出する
  • 罰則: 選任義務があるにもかかわらず選任しなかった場合、労働安全衛生法第120条に基づき、50万円以下の罰金が科される可能性がある

事業場の規模(従業員数)や業務内容によって、必要な産業医の形態(嘱託・専属)や人数は以下のように異なります。

産業医の形態

  • 従業員数50人以上〜1,000人未満の事業所の事業場:ふだんは自身のクリニックなどで勤務し、月に数回(数時間)企業を訪問して衛生指導や面談を行う「嘱託(非常勤)産業医」を選任するのが一般的です。
  • 従業員数1,000人以上の事業場(※有害業務は500人以上):その企業に常勤して専任で産業保健業務を行う「専属産業医」の選任が義務付けられています。なお、常時3,000人を超える大規模な事業場では、専属産業医を2人以上選任しなければなりません。

産業医を探す4つの方法

産業医を探す4つの方法

産業医を探す方法はいくつかありますが、多くの企業は「医師会」「健診機関」「地域産業保健センター」「産業医紹介会社」の4つから選任しているケースが多いでしょう。

それぞれ紹介を受けられる産業医の特徴やサポート範囲が異なるため、自社の規模や求める支援内容に合わせて選ぶことが重要です。

ここでは、代表的な4つの探し方について解説します。

地域の医師会に相談する

地域の医師会に相談し、産業医資格を持つ医師を紹介してもらう方法です。

地域に根差した医師を紹介してもらえるため、事業場の近隣で活動する産業医を探したい企業に適しています。また、初めて産業医を選任する企業でも相談しやすい窓口である点がメリットです。

一方で、紹介制度の有無や対応方法は医師会ごとに異なります。地域によっては登録している産業医が少なく、希望する条件に合う医師がすぐに見つからないケースもあります。また、紹介後の契約条件の調整や毎月の訪問日程の調整、書類作成などの実務は、原則として企業と産業医が直接やり取りしなければなりません。

地域の医師会は、日本医師会ホームページから検索できます。

健診機関

定期健康診断を委託している医療機関(健診機関)へ相談し、所属している医師を産業医として紹介してもらう方法です。

厚生労働省も産業医が見つからない場合の相談先として健診機関の活用を推奨しています。

すでに取引があり、自社の従業員構成や健康課題を把握しているためスムーズに連携できます。健康診断結果の確認からその後の就業判定(事後措置)まで、一貫して任せられる点が強みです。

一方で、健診機関に在籍する産業医の数は限られているため、必ず紹介してもらえるとは限りません。

また、春や秋などの健康診断の繁忙期は、医師が健診業務で手一杯になり、企業への訪問や産業保健業務の対応が難しくなる場合があるため事前確認が必要です。

地域産業保健センター

独立行政法人 労働者健康安全機構が運営する「地域産業保健センター(地さんぽ)」に相談する方法です。

地域産業保健センターは、労働者50人未満の小規模事業場を対象に、産業保健サービスを原則無料で提供している公的機関です。産業医の紹介そのものが目的の窓口ではありませんが、以下のような支援を受けられます。

  • 健康診断結果に関する医師の意見聴取(就業判定)
  • 長時間労働者・高ストレス者への医師による面接指導
  • メンタルヘルスに関する専門家相談
  • 企業の産業保健体制に関する助言・サポート

従業員が50人未満の企業にとっては非常に心強い窓口ですが、従業員数が50人に達して法定の選任義務が生じた段階で、地産保の無料サービスは利用できなくなります。 将来的に50人を超える見込みがある場合は、あらかじめ他のルートで継続して担当してもらえる嘱託産業医を探しておく必要があります。

産業医紹介会社

民間の産業医紹介会社を活用し、自社の条件にマッチする医師をマッチングしてもらう方法です。

近年は産業医不足やメンタルヘルス対応の複雑化に伴い、医師会や健診機関で医師が見つからず、紹介会社を経由して選任する企業が急増しています。

契約手続きの代行や、選任後の書類作成サポート、万が一医師とトラブルがあった際の調整・交代対応など、運用面の手厚いバックアップが受けられます。短期間で確実に自社に合う医師を確保したい企業におすすめです。

紹介会社では、以下のような企業の希望条件を細かくヒアリングした上で医師を提案してくれます。

  • 希望エリアや訪問希望曜日
  • 従業員数、業種(製造業、IT業など)
  • 解決したい課題(過重労働対策、メンタルヘルス復職支援など)
  • 予算(顧問料)

求人ジャーナル産業医サポートでは、企業ごとの課題や業種に合わせて最適な産業医をご紹介しています。選任手続きの代行はもちろん、選任後の実務運用まで一貫してサポート。最短1週間でのスピード紹介実績もございますので、「何から始めたらいいか分からない」「急ぎで選任が必要」という担当者様も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

産業医4つの探し方を比較

産業医4つの探し方を比較

産業医を探す4つの方法にはそれぞれ異なる強みがあり、企業の「スピード重視か」「コスト重視か」「運用の手軽さ重視か」によって最適な選択肢は変わります。

まずは各ルートの費用、見つかるまでの期間、サポート体制の違いを一覧表で比較してみましょう。

比較項目医師会健診機関地域産業保健センター(地産保)産業医紹介会社
主な対象規模50人以上の全般50人以上の全般50人未満の小規模事業場50人以上の全般(専属も対応)
コスト無料〜数万円(地域による)無料〜数万円(契約内容による)完全無料紹介手数料(顧問料の1〜2ヶ月分等)
選任までのスピード1ヶ月〜数ヶ月1ヶ月〜数ヶ月(※スポット利用のため選任なし)最短1週間〜3週間
医師の選択肢△(地域の登録医のみ)△(所属する医師のみ)×(選任用の紹介は原則なし)(全国の多数の登録医から選べる)
運用の手軽さ×(企業と医師で直接交渉)△(健診機関による)×(手続き代行などはなし)(契約代行や書類準備を丸投げ可)
選任後のトラブル対応×(相談窓口なし)△(医療機関による)×(対象外)(万が一の医師の交代も対応)
初めての企業との相性△(実務は自社で主導が必要)○(健診データと連携しやすい)○(50人未満の相談窓口として最適)(ノウハウがなくても完全サポート)

各ルートのメリット・デメリットまとめ

① 医師会
  • メリット: 地元密着の医師と繋がりやすい。紹介料などの初期コストを抑えられる。
  • デメリット: 紹介制度がない地域や、登録医師が少ない地域がある。契約書作成や労働基準監督署への届出などはすべて自社で行う必要がある。
② 健診機関
  • メリット: 健康診断の結果(就業判定など)と連携したスムーズな対応が可能。
  • デメリット: 産業医業務に対応できる医師の数が少なく、断られるケースがある。また、春・秋などの健診繁忙期は医師のスケジュール確保が難しくなる。しかし、月1回の定期巡回は繁忙期であっても必ず実施しなければならないため、契約時に確認が必要。
③ 地域産業保健センター(地さんぽ)
  • メリット: 医師による面接指導や健康相談を無料で受けられる。
  • デメリット: あくまで50人未満の事業場向けの「スポット相談窓口」であり、50人以上の企業が義務付けられている「継続的な産業医の選任(紹介)」を目的とした機関ではない。
④ 産業医紹介会社
  • メリット: 自社の業界や課題(メンタルヘルスなど)に合った医師を豊富な選択肢からスピーディーに選べる。選任後の事務サポートやトラブル時の医師交代制度が充実している。
  • デメリット: 民間サービスのため、初期費用や月々のシステム利用料などのコストが発生する。

手続きや実務のノウハウが社内にない場合は、複数の候補者から自社に最適な医師を比較検討でき、選任後の手続きまで一任できる「産業医紹介会社」を活用すると、ミスマッチや法令違反のリスクを防ぎやすくなります。

また、すでに定期健康診断を委託している医療機関がある場合は、まずは繋がりがある「健診機関」へ打診してみるのも良いでしょう。

自社に合う産業医の探し方

産業医に求められる役割や体制は、企業の規模、拠点数、抱えている課題によって大きく異なります。例えば、従業員50人前後の拠点と1,000人を超える大企業では、法令上の義務も実務のボリュームも全く別物です。

常時50人以上1,000人未満の労働者を使用する事業場では、産業医を1人以上選任する必要があります。この規模では、事業場に常勤しない嘱託産業医を選任するのが一般的です。一方、常時1,000人以上の従業員がいる場合や、特定の有害な業務に常時500人以上が従事する場合は「専属(常勤)産業医」の選任が必要です。

ここでは、自社の事業形態や規模に合わせて、どのような基準で産業医を探すべきかを詳しく解説します。

従業員50〜999人の企業

この規模の企業では、産業保健を専門に担当するスタッフが社内にいないことも多いため、法令上の手続きだけでなく「実際の業務をどこまでサポートしてくれるか」が医師探しのポイントになります。

特に以下のような企業は、地域の医師会や、手厚いサポートがある「産業医紹介会社」の活用がおすすめです。

  • 初めて産業医を選任するため、手続きの手順が分からない
  • ストレスチェックの結果(集団分析)をもとに、職場環境の改善まで一緒に取り組みたい
  • メンタルヘルス不調者や休職者が増えており、具体的な復職支援の体制を作りたい
  • 人事・労務担当者が産業保健の専門知識を十分に持っていない

医師会は近隣の医師を見つけやすいメリットがありますが、紹介会社は「メンタルヘルスに強い」「製造業の安全衛生に精通している」など、自社の課題にマッチした医師を多数の選択肢から比較・検討できるため、ミスマッチを防ぎやすくなります。

従業員1000人以上の企業

常時1,000人以上の労働者を使用する事業場では、原則としてその企業に常勤する「専属産業医」の選任が義務付けられています。ここで、専属産業医の選任要件を確認しましょう。

専属産業医の主な選任要件(労働安全衛生法施行令第5条)

  • 常時1,000人以上の労働者を使用する事業場
  • 常時500人以上の労働者を使用し、かつ法定の「有害な業務(深夜業、著しい暑熱・寒冷環境での業務、危険物取扱など)」に常時従事させる事業場

専属産業医は、企業の「一社員(または専属顧問)」に近い立場で、通常の産業医業務に加え以下のような高度かつ広範囲な職務を担うことも多くなります。

専属産業医の主な職務内容

  • 労働衛生に関する基本方針や労働安全計画の策定
  • 重量物の取り扱いなどによる、作業時間・姿勢・方法の改善や、過重労働・有害な作業方法への対策
  • メンタルヘルス対策の推進、休職・復職支援プログラムの構築
  • 感染症流行時の社内ガイドライン策定や健康管理体制の構築

選任にあたっては、医師としてのスキルに加え、「大規模事業場での産業医経験」「労働安全衛生体制の構築経験」「人事や経営層、各部門との調整能力」が重要になります。

専属産業医は市場にいる人数が非常に限られているため、自社で直接採用をかけるよりも、専属のヘッドハンティングや大規模なネットワークを持つ「産業医紹介会社」を活用することをおすすめします。

複数拠点を持つ企業

本社のほかに、支店・営業所・工場・店舗などを全国に複数展開している企業は、各拠点の労働者数に応じた産業保健管理体制を敷く必要があります。

すべての拠点が50人以上であればそれぞれの地域で選任が必要ですが、全社一貫した健康管理を行うために以下の方法を検討しましょう。

  • 統括産業医(総括産業医)を配置する:複数の拠点を持つ企業では、全社の産業保健体制を一元管理する「統括産業医」を本社の専属医などに兼任させるのが望ましい。
  • オンライン面談の活用と訪問体制を組み合わせる:一定の法要件(情報セキュリティの確保、あらかじめ対面面談の基準を定めていることなど)を満たせば、離れた拠点の従業員と産業医がオンラインで面談を行うことが認められている。ただし、原則として月1回以上の職場巡視は医師が実地で作業環境等を確認する必要があるため、全国にネットワークを持つ産業医紹介会社を利用し、「各拠点に訪問できる地元の嘱託医」をまとめて確保・管理するのが効率的。

初めて産業医を選任する企業

初めて産業医を選任する企業は、「そもそも何を基準に選べばいいのか分からない」という不安を抱えるケースが少なくありません。

手当たり次第に探す前に、まずは自社が今、健康管理上で抱えている課題を整理してみましょう。

  • 長時間労働(残業)が多い部署があり、過重労働対策を急ぎたい
  • メンタルヘルス不調者が目立つようになり、予防や早期発見の仕組みが欲しい
  • 実際に休職者や復職者が出ており、主治医との連携や就業制限の判断に困っている
  • 衛生委員会を立ち上げる必要があるが、形骸化させずにしっかり運営したい

このように課題が明確になれば、その分野での解決実績や実務経験が豊富な産業医を絞り込んで探すことができます。

初めての選任では、医師との契約書の締結や、労働基準監督署への選任届の提出など、事務手続きだけでもハードルが高く感じられます。そのため、選任後の書類準備や実務の進め方まで一貫して並走してくれる紹介会社を選ぶことで、人事労務の負担を最小限に抑えられます。

産業医選びで失敗しないためのポイント

産業医選びで失敗しないためのポイント

産業医は、法令上の選任義務を果たすためだけの存在ではなく、従業員の健康管理や安全な職場づくりを支える重要なパートナーです。そのため、資格を持っているという理由だけで選任すると、「相談しづらい」「自社の課題になかなか対応してもらえない」といったミスマッチが生じる可能性があります。

ここでは、自社に合った産業医を選ぶために確認しておきたいポイントを紹介します。

産業医としての実務経験があるか

産業医を選ぶ際は、臨床医としてのキャリアだけでなく、「企業における産業医としての実務経験」を確認すると良いでしょう。

産業医の業務は、健康診断後の就業判定や長時間労働者への面接指導、職場巡視、衛生委員会への出席など多岐にわたります。これらは病院での診療(臨床)とは異なり、労働安全衛生法に基づいた「労務管理」の視点が必要です。

過去に自社と同規模の企業や、同業種での支援実績がある医師であれば、実務をスムーズに任せられます。契約前には、これまで担当してきた企業の業界や社数、得意な支援分野(メンタルヘルス、過重労働対策など)をヒアリングしておくと安心です。

自社の業界や働き方への理解があるか

業種や勤務形態によって、企業が抱える特有の労働リスクや健康課題は大きく異なります。

  • 製造業・建設業など: 機械設備による労働災害(ケガ)の防止、化学物質の管理、安全衛生基準への厳しい準拠が求められます。
  • IT企業・デスクワーク中心など: 長時間労働による過重労働対策や、目に見えにくいメンタルヘルス不調の早期発見・予防が主軸になります。
  • シフト制・夜勤・リモートワーク主体の職場: 勤務形態が不規則な従業員や、対面で見守ることが難しい従業員の健康管理・面談方法を工夫する必要があります。

自社の業界特性やリアルな働き方に理解がある産業医であれば、職場巡視や衛生委員会での助言も机上の空論にならず、現場の実情に即した、より効果的な産業保健活動につながるでしょう。

従業員とのコミュニケーションを取れるか

産業医は従業員と直接1対1で面談を行う機会が多いため、「相談しやすい人柄や傾聴力」を備えているかどうかは極めて重要です。

特に高ストレス者や休職直前の従業員は、強い不安や警戒心を抱いています。医師側が威圧的な態度をとってしまうと、従業員が本音を話せなくなり、休職の長期化や労使トラブルの悪化を招くリスクがあります。

また、人事労務の担当者や経営層と密に連携し、「法令や医学的なルールを押し通すだけでなく、会社の就業規則や現場の状況も汲み取った上で、現実的な落としどころ(解決策)を提案してくれる柔軟性」も必要です。面談や打ち合わせの際には、言葉遣いの柔らかさやこちらの質問への対応姿勢をよく観察し、自社との相性を見極めましょう。

ストレスチェックや休職者対応まで相談できるか

産業医の役割は、法律で定められた定期訪問や面談といった業務だけではありません。

企業によっては、高ストレス者への面接指導や、休職・復職時の就業可否の判断、再発防止に向けた助言など、専門的な支援を必要とする場面が多くあります。

そのため、契約前にはストレスチェック後の対応や復職支援、メンタルヘルス対策までサポートしてもらえるか確認しておきましょう。対応範囲を事前に明確にしておくことで、必要な場面で迅速に相談でき、業務範囲のトラブルを防げるでしょう。

訪問頻度や対応範囲が自社に合っているか

特に嘱託産業医を選任する場合、医師の稼働条件と自社が求めるサポート範囲が一致しているかを細かく確認する必要があります。

  • 毎月の定期訪問(職場巡視・衛生委員会への出席)のスケジュール調整は柔軟か
  • 従業員からの急な面談希望に対し、オンライン面談(Zoom等)での対応は可能か
  • 訪問日以外に、メールや電話で突発的な相談ができるか
  • 複数拠点がある場合、遠方の拠点への出張やオンラインでの一括管理に対応してくれるか

自社が求める稼働要件をあらかじめリストアップし、医師側のスケジュールや対応可能な範囲とあらかじめ合致させておくことが、スムーズな運用に繋がります。

顧問料や追加費用が明確か

産業医を選任・維持するためのコストは、見積書の「基本顧問料(月額)」だけで判断せず、内訳や追加費用の発生条件まで細かく確認しておきましょう。

一般的に、以下のようなケースで別途オプション費用が発生することがあります。

  • 契約時の想定時間を超えた「面談の延長料金(30分単位など)」
  • 従業員数が増加した際の追加費用
  • ストレスチェック実施に伴う、高ストレス者面談の特別対応費用
  • 意見書や復職判定に関する書類作成の発行手数料
  • 訪問時の往復交通費

契約後に想定外の費用が発生しないよう、どこまでが基本料金に含まれるのか、追加料金が発生する条件は何かを事前に確認しておきましょう。複数の紹介会社や医療機関から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較したうえで選ぶことをおすすめします。

後にトラブルに発展しないためにも、契約前に上記のポイントを確認しましょう。

産業医が見つからない場合の対処法

産業医が見つからない場合の対処法

近年は産業医不足や地域偏在の影響により、「探しても産業医が見つからない」という企業も少なくありません。特に地方や専門職の採用が難しい地域では、複数の医療機関や紹介会社へ問い合わせても候補者が見つからないケースがあるでしょう。

しかし、法的な選任義務がある事業場(従業員50人以上)では、「医師が見つからない」という理由で選任を先延ばしにすることは許されず、放置すれば罰則の対象となるリスクもあります。また、50人未満の事業場であっても、ストレスチェック後の高ストレス者面談など、急を要する実務が発生する場合もあります。

そこで、どうしても産業医が見つからないときに検討したい4つの対処法を詳しく解説します。

地域を広げて探す

近隣の市区町村で見つからない場合は、産業医の移動時間の枠を少し広げて検索し直してみましょう。

産業医(嘱託)は毎日出勤する必要はなく、基本は月1回程度の訪問です。そのため、多少離れた場所にあるクリニックや総合病院の医師であっても、スケジュールさえ合えば引き受けてもらえるケースがあります。

⚠️オンライン活用の注意点(完全オンラインはNG)
近年はオンライン(Web面談)を活用する企業も増えていますが、「一切訪問せず、すべてオンラインで済ませる」ことは法律上認められていません。 厚生労働省のガイドラインでも、月1回(要件を満たせば2ヶ月に1回)の「職場巡視」は医師が直接現地で行う必要があると定められています。移動の負担を考慮しつつ、「巡視は対面、従業員の定期面談はオンラインを活用」といった運用を前提にエリアを広げましょう。

健診機関に相談する

毎年、従業員の定期健康診断を委託している医療機関(健診機関)へ、改めて産業医の紹介が可能か強く打診してみるのも有効です。

健診機関には産業医資格を持つ医師が在籍していたり、地域の産業医とのネットワークを持っていたりするケースがあります。

すでに定期健康診断を依頼している医療機関であれば、従業員数や業種などを把握しているため、契約後の連携もスムーズに進めやすくなるメリットがあります。

産業医紹介会社を変更する

紹介会社を利用しても産業医が見つからない場合は、別の紹介会社へ相談することも検討しましょう。

産業医紹介会社によって、登録している医師の人数や対応エリア、得意とする業種は異なります。そのため、一社で候補者が見つからなくても、別の会社では条件に合う産業医を紹介してもらえることがあります。

特に、地方や専門性の高い業界では、紹介会社ごとのネットワークの違いが結果に大きく影響する場合があります。複数の紹介会社を比較しながら、自社の条件に合ったサービスを選ぶことが重要です。

「求人ジャーナル産業医サポート」では、全国2,400人の登録産業医ネットワークの中から、貴社の拠点がある地域、企業規模、業種、ご予算に合わせた医師をスピーディーにマッチングいたします。産業医探しはもちろん、煩雑な契約手続きや労働基準監督署への選任届の準備まで一貫して代行。他社で「医師が見つからない」とお断りされた地方の拠点であっても、まずは一度お気軽にご相談ください。

親会社の産業医に兼任の相談をする

自社がグループ企業の子会社や関連会社である場合、親会社で専属または嘱託として稼働している産業医に、自社の産業医も兼任してもらえないか相談する方法があります。

労働安全衛生規則の規定により、産業医は一定要件(事業場間の距離が近く、実務に支障が出ない範囲であることなど)を満たせば、複数の事業場を兼任することが認められています。

すでに親会社の風土や事業内容を理解している医師であれば、子会社での実務もスムーズに導入できます。

ただし、医師本人の同意はもちろん、産業医の移動スケジュールや業務量の確認、親会社との契約変更、社内規程の確認が必要になるため、まずは自社の法務や人事部門を通じて親会社へ打診をしてみましょう。

産業医を探すときによくある質問

産業医を探すときによくある質問
産業医はいつまでに選任すればよいですか?

常時50人以上の労働者を使用する事業場となった場合は、その日から14日以内に産業医を選任する必要があります。

また、産業医を選任した後は、遅滞なく管轄の労働基準監督署へ「産業医選任報告」を提出しなければなりません。

選任には、候補者との面談や契約条件の調整など一定の時間を要することもあります。従業員数が50人に近づいている場合は、義務が発生してから探し始めるのではなく、事前に候補者を探しておくことをおすすめします。

選任までに企業が行うべき対応はありますか?

自社が抱える健康管理上の課題を整理し、求める業務範囲や予算を決めておきましょう。

手当たり次第に医師を探す前に、あらかじめ以下のポイントを社内で整理しておくと、自社に最適な産業医をスムーズに見極められます。

  • 対応してほしい業務の明確化: 「長時間労働者への面接指導を強化したい」「メンタルヘルス不調者の復職支援体制を作りたい」「形骸化している衛生委員会の運営をリードしてほしい」など、自社が特に医師の力を借りたい領域を絞り込みます。
  • 訪問スケジュールや費用の目安:毎月の訪問頻度(月1回◯時間など)、オンライン面談併用の有無、予算(顧問料の上限)などの目安を決めておきます。
従業員50人未満でも産業医は必要ですか?

法的な選任義務はありませんが、労働者の健康管理を行う努力義務があります。

常時50人未満の事業場であれば、法律上の産業医選任義務はありません。しかし、事業者には「労働者の健康管理に努める努力義務」があるため、健康診断後の就業判定や、長時間労働者への適切な配慮は変わらず求められます。

50人未満の事業場は、各地域の「地域産業保健センター(地産保)」が提供する産業保健サービスを原則無料で利用できます。健康診断結果に関する医師の意見聴取や健康相談などをスポットで受けられるため、産業医がいない小規模事業場は積極的に活用するとよいでしょう。

産業医が見つからない場合はどうなりますか?

選任期限(14日以内)を過ぎると労働安全衛生法違反となり、50万円以下の罰金が科されるリスクがあります。

「探しているけれど見つからない」という理由であっても、放置していれば法令違反と判断される可能性があります。

地域的な産業医不足などでどうしても遅れてしまう場合は、何もせずに期限を過ぎるのではなく、紹介会社や医師会への相談実績など、選任に向けて動いている行動履歴を残しつつ、必要に応じて管轄の労働基準監督署へ状況 を相談・報告することをおすすめします。

それと並行して、即応性のある産業医紹介会社を活用するなど、複数の方法で早急に確保へと動きましょう。

産業医を探すなら「求人ジャーナル産業医サポート」で

法令遵守や安全配慮義務を果たすための健康管理体制づくりは、企業にとって急務です。しかし、自社の課題や規模に合った産業医を探し、手続きを進めるのは、人事・労務担当者にとって時間も手間もかかる大きな負担となります。

自社に最適な産業保健体制を、効率よく、かつ法令に則って構築・運用するためには、外部の専門サポートを活用するのが最も確実な解決策です。

「求人ジャーナル産業医サポート」なら、全国2,400名以上の登録産業医の中から、企業の各拠点の規模や地理的条件、職務内容にマッチした最適な医師をスピーディにご紹介できます。窓口の一本化により、複数拠点の契約やスケジュールの一括管理も可能となり、人事担当者の業務負担の大幅な軽減も期待できます。

複数事業所の産業医選任や、全社的な健康管理体制の共通化・効率化にお悩みの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

参考文献

・日本医師会『各地の医師会

・厚生労働省『産業医について~その役割を知ってもらうために~

・地域産業保健センター(地さんぽ)『こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

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